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恵子をつれて二度目の帰省

九月も終わりの頃だったと思う。

田舎の親父から電話が掛かってきた。

少々、アルコールが入っているようだった。

新米が出来たから、彼女を連れて食べに来いという内容だった。

その当時は、兄弟みんなが社会人になっており、家を出ていた。

私以外、既婚者だった。

実家では、親父とおふくろの二人きりの生活。

そんな訳で、婚約者の恵子を連れて遊びにこいということだった。

「まぁ、一応聞いてみるけど、当てにしないでくれよ」

「決まったら連絡してこいよ」

「あぁ、分かったよ」


そんな会話があった。

翌日の昼休み、恵子が他の女子社員とお弁当を食べ終えておしゃべりしていた。

「○○さん、ちょっと」と、恵子を手招き。

「あ、はい」

と言って、私のデスクに呼んだ。

(皆、二人がつき合っているのを知っていたので、特に話題にもしない)

「今度の週末、田舎に帰ってくるよ」

「何かあるの?」

「特にないけど。新米ができたから食べに来いって親父から電話があってさ。おふくろと二人暮らしだから淋しいんだろ、きっと。今度は泊まってくる」

「そう、いいなぁ」

「親父が、お前を連れてこいってさ。」

「え、私も?」

「俺の許婚(いいなずけ)に会いたいらしい。お前にうまいごはんを食べさせたいんだってさ」

「ふ~ん....許婚って?」

「婚約者のこと。お前のことだよ」

「‘いいなずけ’かぁ。なんかいい響きだよね!」

「で、どうする?」

「急に言われてもね...」

「この前、日帰りでお前を連れて行った時にさ、」

「うん」

「親父が、お前のこと(可愛い娘じゃないか。お前にはもったいないな)って、言ってたんだよ。それに、おふくろもお前のこと気に入ってるから、きっと喜ぶと思うよ」

「そう。う~ん、ちょっと考えさせて」

「あぁ、そうしてくれ」

流石に即答はできなかった。今回は、泊りだったからだろう。



翌日。

「帰省のことだけど、一週間延ばせない?」

「いいけど。なんで?」

「来週末なら、行けると思うから」

「じゃ、そうするよ」





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