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セックスは認めてくれたが...

コンドーム破れの一件の後、こんなことがあった。

恵子と電話をしていた時のことだ。

恵子がこんなことを言って、お姉さんに代わった。

「ちょっと、姉が話したいことがあるんだって」

「あぁん?俺はないよ」

「とにかく代わるね」

さっさと代わってしまった。


「恵子の姉です。いつも妹がお世話になってます

「いえ...」

「あの、お二人とも大人なんだし、真剣なおつき合いされているようなので、私が口を挟むような

ことではないんですが...」

「はぁ、」

「あの、ゴムをつけて頂きたいなと」

「ゴム...ですか?」

「はい、コンドームをきちんと使って避妊して頂きたいということです」

「はぁ」

望まない妊娠をして傷つくのはいつも女性です。ですから、その辺りの配慮をお願いします。」

「...」

「大人のおつき合いですから、セックスがいけないとは言いません。ただ、大事な妹なので。」

「...」

「じゃ、お願いしますね」

「...」

「今、恵子に代わります」

「...」

途中から、一方的な会話になってしまった。

私もなんとも言いようがなかったし、とにかく用件を聞いて終わりにしてしまいたかった。

心中穏やかでない風来坊であった。


***************************

その日、恵子がアパートに来た。

「ごめんね」

「...」

「どうしても話すっていうから」

「なんでそういうことになるの?」

「だって、」

「お前が余計なことをお姉さんに話したんだろ?」

「ごめんなさい」

「あれは事故だったんだよ。避妊しなかった訳じゃないだろ」

「うん、分かってる。...だけど、」

「いい加減、姉妹でそんな会話をするのは止めにしてくれよ!」

「...」

そんな会話があった。


しかし、女とは黙っていられない人種なんだと悟った風来坊だった。



それ以降、秘密にしておくべきことは誰にも話さないことにした。

たとえ女房であっても話してはいけないこともある。


次に恵子のお姉さんと会話をしたのは、2年後の結婚式であった。



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8月の夜

両親への挨拶を済ませ、晴れて‘婚約者’となった恵子は、落ち着いていた。

会社でも、アパートでも、デート中でも自然体だった。


会社では同年代の女子社員T子に、

「恵子ちゃん、○○さんと結婚するの?」

「うん、そのつもりでつき合ってるよ。」

「そうなんだぁ、いいなぁ。」

「T子ちゃんだって、××さんがいるじゃない。結婚するって聞いてたけど?」

「最初はねぇ、そう思ってたんだけど。なんかさぁ、覚めてきちゃったんだぁ」

「ふ~ん。T子ちゃんの両親にも紹介して、食事したって聞いたよ」

「そうなんだけどさぁ。何か、今はいろいろ考えちゃって」

「年が離れてるから、話題が合わないのかなぁ?」

「それもあるけど、他にもいろいろね...」

「ふ~ん...」

「最近、恵子ちゃんしっとりしてるよねぇ。なんだか落ち着いた感じになったよ」

「そうぉ?」

「○○さん、やさしいからなぁ。愛されてるんでしょう?」

「はい。」

「もぅ、恵子ちゃんたらぁ。ごちそう様!」

恵子によると、そんな会話があったという。

結局、その二人は結婚しなかったようだった。



こちらはこちらで、

7月に中途で入社してきた年下の男性社員と、歓迎会と称して若手5人で飲みにでかけた。

乾杯をして、一通り会社のこと、仕事のことを話した後、ビールジョッキもすすみ、自然と砕けた

話題になる。

その新人が、

「恵子さんてかわいいですよね。」


4人の手が一瞬、止まった。

「ああ。でも、恵子ちゃんは止めとけ。他の子にしろよ」

とは、先輩社員の一言。

「えぇっ!他にはいい子いませんよぉ。きれいな人は皆30代だし。俺、年上には興味ありませんから」

「それなら、社外で探せよ」

「なんで、恵子さんはだめなんですかぁ?彼氏でもいるんですかぁ?」

「あぁ、恵子ちゃんには決まった人がいるんだよ。婚約者がいるの。だからちょっかいだすなよ。まぁ、ちょっかいだしても、振り向くことはないと思うけどな(笑)」

「そうなんですかぁ。まだ22才ですよ。それでもう婚約者がいるんですか?」

「22才でも婚約してるの!」


「そうですかぁ。じゃ、諦めます」

「そう、諦めな」

その場では、婚約者がだれかは明かされなかったが、店を出て、皆と別れてから、

「恵子ちゃんはなぁ、○○さんの婚約者なんだよ」

と先輩社員が伝えたことを、その新人から聞かされた。

「あの夜は失礼しました。」

「別にいいよ。恵子に”△△君が可愛いって言ってたよ”っていったら、喜んでたよ。まぁ、そういうことだから、よろしくな」

「はい。」

結局、その新人は、3カ月の試用期間中に部長の逆鱗にふれて、馘首(クビ)になったのだが。

そんなことで、その後、恵子にちょっかいを出す者はいなかった。



そんな8月のある暑い夜。

エアコンなど付いていない時代、アパートの住人は窓を開け放っていた。

皆、寝苦しい夜を過ごしていた。

夜中、何事か声が聞こえて目が覚めた。

よく聞いていると、それは話し声ではなく喘ぎ声だった。

「あぁ~ん」
「あぁ、う~ん」
「はあ~ん、いいぃ」


そんな声が聞こえてきた。

それは、階上の部屋から、別の部屋から、さらにもう一つ別の部屋から。

3軒のアパートでセックスしているのが分かった。

階上の部屋で動くと、その振動で 、部屋のガラス戸が震えた。

(たまんねえなぁ。)

風来坊のペニスはもうビンビンになっていた。

人生で初めて、他人の生の喘ぎ声を聞いた風来坊であった。





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六月---両親への紹介

引っ越し後、恵子は頻繁にアパートに出入りする。

その時、風来坊は恵子との結婚を決意していた。

しかし、あの日以来、正式のプロポーズは出来ずじまいだった。

ある日、先にアパートに来て料理を作っていた恵子。

私は、定時を1時間過ぎたころ退勤し、帰途についた。

アパートの灯りがついている。

(あぁ、そうだった)

定時前に紙礫が飛んできていた。

「今日、行くね。お料理作って待ってる!」

「ただいま」

「お帰りぃ」

恵子は台所で、何事が煮込んでいた。

おたまを置いて、抱きついてきた。

「どうした?」

「ううん。なんでもない」

(恵子は温もりが欲しかったようだった。)

そのまま、短めのディープキス。

部屋でラジオを聴いて待っていると、恵子が料理を運んできた。

二人で夕食を済ませ、いつものように布団の中へ。

恵子はスリップ姿だった。

恵子はスカートスタイルで出勤することが多く、スカートの下には必ずスリップを着けている、そんな女だった。


セックスの前に、ちょっとした会話をした。

「今週末、田舎に帰ってこようと思う」

「ふ~ん、何かあるの?」

「いや、特にないけど。良かったら一緒に来ないか?

「えっ、なんで?」

「お前をおやじとおふくろに紹介したいんだ。この人と結婚するつもりだって」

「...」

「日帰りになるけど、来てくれるか?」

行く!絶対、行く

そんな会話の後、裸になりセックスをした。

アパートに来る=セックスのような生活だった。

恵子が拒むことはなかった。


その夜、実家に電話をした。

お袋が電話に出た。

「なんだい?こんな時分に」

「うん、ちょっとね。今度の休みに帰るよ」

「あぁ、そう。泊まってくんだろ?」

「いや、今回は日帰り。」

「忙しいんだね。泊まってけばいいのに。」

「おやじとおふくろに会わせたい人がいるんだ」

「誰だい?」

「今すぐって訳じゃないんだけど、結婚しようと思ってる人」

「あらまぁ。そうかい。じゃ、楽しみに待ってるよ」





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新しい生活の始まり

引っ越しの準備は、一人で進めた。
もともと六畳一間に小さな流し台があるだけの小さな安アパート。
たいした持ち物もない。
しかし、引っ越しすとなると面倒な手続きがある。
NTTへの引っ越し手続き、区役所への転出届け。

それでも、引っ越し当日は、会社の友人に手伝いをお願いした。
駅近くのレンタカー屋で平ボディのトラックを借り、友人をピックアップして帰宅。

梱包済みの荷物を2階から降ろして、トラックに積み込んだ。
友人は、運転免許を持っておらず、自分で運転した。
積み込みに1時間。移動に1時間。11時ぐらいに新居となるお風呂付アパートに着いた。
荷を解いてアパートのドアを開け、道路沿いの窓も開けた。

部屋の荷物を入れ始めたところで、恵子がアパートに着いた。

「おはよう、ご苦労さま。△△さん、ありがとね!」

「あ、おはよう。気にしなくていいよ。○○さん(私のこと)と恵子ちゃんのためだからね」とは、会社の友人。

その友人には恵子とつき合っていること、恵子が引っ越しの手伝いに来ることを伝えていた。
恵子とどんなつき合いをしているかは殊更話していなかったが、二人の会話を聞いていれば、もう既に男女の仲にあることは容易に想像できただろう。

3人で手分けして、荷物をアパートの中に入れ終えた。

お昼を過ぎそうだった。急いで乗り捨てる駅近くのレンタカー屋に急いだ。5分あまりで到着し、乗り捨て料金を払った。

その後、三人分の弁当と缶ジュースを買ってアパートに帰った。

アパートに着くと、恵子と友人はおしゃべりをしていた。

どんな会話をしていたかは分からない。




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恵子の涙

「じゃ、一緒に探してあげるね!」

そんな会話の後、恵子を抱き寄せ、もう一度抱いた。

恵子を下にして、恵子の目に涙が溢れてきていた。

「どうした?」

「うれしいの」

「うん?」

「あなたが私のところに帰ってきてくれたから。私を選んでくれたのがうれしいの」

「ごめんな...」

「ううん。でも、あなたに他の人がいるのが分かった時は辛かった。その人と二股かけられてるの
分かってて、抱かれてた。...あなたと別れたくなかったから...」

(涙が流れだした)

「...」

(恵子はなにも言わなかったが、苦しんでいたのだった。)



以前、若手の社員でこんな会話があった。

「恵子ちゃんは、彼氏が浮気したらどうする?」

「浮気はぁ...、しょうがないと思う。私のところに帰ってきてくれるなら、許すと思う。でも、本気なら別れます」

「そうだよねぇ、普通、別れるよねぇ。でも、恵子ちゃん、寛大なんだねぇ」

「.....」

そんな会話を聞いていた。

(ふ~ん、そんな風に考えてるんだと思った風来坊だった。でも、実際は違った。

22才、それも3ヶ月前まで処女だった娘がそんな寛大な訳がなかった。恵子は苦しんでいた。)



「もういやだよ。私のことだけ見てて。ちゃんと掴まえてて!じゃないと、私、私...」


(言葉にならなかった)

恵子は泣きながら、素直な気持ちをぶつけてきた。

(今まで抑えてきたものを、一気に解放するかのようだった。)

「もう離さないよ」

恵子を抱しめた。

「大好き...」

こんな一件があって、恵子と風来坊は、本当の”恋人”になった。

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Author:風来坊59
風来坊の日常生活を、徒然なるままに綴ってまいります。ちょっとエッチかも?

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