告白、そして濃密な関係へ
恵子と男女の仲になった時、風来坊には他にも男女の仲にあった女性がいた。
その女性は、某音楽大学のピアノ科に籍を置いていた。
恵子より一つ年上だった。
名前はN美。
ひょんなことで知り合いになり、気づいた時にはそういう仲になっていた。
ある日の定時時刻過ぎ、N美が会社に来てしまった。
未遂と言った方が適当かも知れないが、いずれにしろ、会社の人間に見られてしまった。
会社を出たところで、N美が声を掛けてきた。
「○○さん」
声の方を向くと、N美が近づいてくる。
「これから会社の食事会だから。明日、連絡するよ」
と言って、先輩と会場に急いだ。
「○○さんもやるねぇ。女の子が会社までくるなんてさ」
「そんなんじゃありませんよ。ただの知り合いの大学生ですよ」
「ふ~ん。女子大生の知り合いねえ。まぁ、そういうことにしておいてやるよ」
「そういうこともなにも。ただの知り合いですから」
同じ言葉を繰り返した。
「好きにするさ」
「はい」
とは言うものの、実際には違ったのだ。
特に頻繁に連絡を取り合っていた訳ではなかった。
それでも会えば体を合わせていた。
悪いことに、その大学生のことが恵子の耳にも届いてしまっていた。
その現場を会社の女子社員にも見られてしまっていたのだ。
恵子は、
「もてるんだね。」
と言っただけで、それ以上は追及してこなかった。
恵子は私と肉体関係を持ちながらも、まだ結婚のことは意識になかった。
恵子の心の中に、別の男性が棲んでいたせいもあるのだろう。
私を責めることはしなかったが、気持ちが良いわけはなかった。
二人とも、数か月は方向性が定まっていなかったのだ。
そんな中でバイク事故が起きた。
そして恵子の「結婚してあげる」発言と、片想いだった彼への紹介。
風来坊は、腹を決めた。
にほんブログ村
その女性は、某音楽大学のピアノ科に籍を置いていた。
恵子より一つ年上だった。
名前はN美。
ひょんなことで知り合いになり、気づいた時にはそういう仲になっていた。
ある日の定時時刻過ぎ、N美が会社に来てしまった。
未遂と言った方が適当かも知れないが、いずれにしろ、会社の人間に見られてしまった。
会社を出たところで、N美が声を掛けてきた。
「○○さん」
声の方を向くと、N美が近づいてくる。
「これから会社の食事会だから。明日、連絡するよ」
と言って、先輩と会場に急いだ。
「○○さんもやるねぇ。女の子が会社までくるなんてさ」
「そんなんじゃありませんよ。ただの知り合いの大学生ですよ」
「ふ~ん。女子大生の知り合いねえ。まぁ、そういうことにしておいてやるよ」
「そういうこともなにも。ただの知り合いですから」
同じ言葉を繰り返した。
「好きにするさ」
「はい」
とは言うものの、実際には違ったのだ。
特に頻繁に連絡を取り合っていた訳ではなかった。
それでも会えば体を合わせていた。
悪いことに、その大学生のことが恵子の耳にも届いてしまっていた。
その現場を会社の女子社員にも見られてしまっていたのだ。
恵子は、
「もてるんだね。」
と言っただけで、それ以上は追及してこなかった。
恵子は私と肉体関係を持ちながらも、まだ結婚のことは意識になかった。
恵子の心の中に、別の男性が棲んでいたせいもあるのだろう。
私を責めることはしなかったが、気持ちが良いわけはなかった。
二人とも、数か月は方向性が定まっていなかったのだ。
そんな中でバイク事故が起きた。
そして恵子の「結婚してあげる」発言と、片想いだった彼への紹介。
風来坊は、腹を決めた。
にほんブログ村
恵子の中の別の男
バイク事故の一件が納まった後だったと思うが、その時期は定かではない。
恵子はテニスクラブに通っていた。
ある時、恵子がそのテニスクラブに来て欲しいと言い出した。
仕事帰りの喫茶店で、恵子とこんな会話があった。
「明日、空いてる?」
「うん?何かあるの?」
「うん。明日、○○にある××テニスコートに来てくれない?」
「いいけど。なんで?俺はやらないよ。」
「会わせたい人がいるの」
「誰?」
「内緒!」
「まぁ、いいか。いいよ、行くよ」
「じゃ、明日ね」
にほんブログ村
恵子はテニスクラブに通っていた。
ある時、恵子がそのテニスクラブに来て欲しいと言い出した。
仕事帰りの喫茶店で、恵子とこんな会話があった。
「明日、空いてる?」
「うん?何かあるの?」
「うん。明日、○○にある××テニスコートに来てくれない?」
「いいけど。なんで?俺はやらないよ。」
「会わせたい人がいるの」
「誰?」
「内緒!」
「まぁ、いいか。いいよ、行くよ」
「じゃ、明日ね」
にほんブログ村
初めての年末・年始
恵子と出会った年末、念願のバイクを購入した。
上野駅近くにあるバイクショップ。
確か、29万円だったかな。
中古の250ccバイク。
20代半ばでのバイクの購入だから、少しも早くはない。
19才で車の免許を取り、24才で自動二輪(中型)の免許を取った。
私が進学した高校は公立の進学校だったためか、ごく僅かの級友が通学に必要だとの学校の
許可を得て原付バイクの免許を取っていた。
中には、“もぐり”で取る者もおり、夏休み明けには数名が学校謹慎。
一週間、別の教室で説教と反省文なるものを書かされていたようだった。
バイクを購入した私は、その足で実家まで飛ばした。
飛ばしたといっても、“初心者マーク”付きみたいなもの。
さらに、ナビなど無い時代。
地図をリュックに詰め込んで、ヘルメットと皮手袋をつけて、何度も止まっては地図を見ながら
ひやひやもので東北自動車道をとばして、実家に辿りついた。
初乗りで100kmを越えるツーリング。
我ながら、よくここまでしたもんだと思った。
実家に着くと、兄夫婦が帰省していた。
兄がおもむろに、
「キーは?」
「乗んの?」
「うん。いいだろ?」
「別にいいけど。無免許なんだがら、気をつけろよ」
と私。
(どっちが兄貴かわからない!)
兄は、高校の時に小型自動二輪の免許を取って実際に乗っていたので、乗れない訳ではなかった。
ただ、免許を取っていなかっただけだった。
実家の周りを一回りして無事に帰ってきた。
「あぁ、寒いや! やっぱり自動車の方がいいなぁ」
「そりゃ、そうだろ」
既に結婚して会社の社宅住まいの兄とは訳が違う。
こちとらしがない安アパート暮らし。
バイクを買うのが精一杯。
いつものように年末・年始を過ごして無事に安アパートに戻った。
恵子から、年賀状が届いていた。
にほんブログ村
上野駅近くにあるバイクショップ。
確か、29万円だったかな。
中古の250ccバイク。
20代半ばでのバイクの購入だから、少しも早くはない。
19才で車の免許を取り、24才で自動二輪(中型)の免許を取った。
私が進学した高校は公立の進学校だったためか、ごく僅かの級友が通学に必要だとの学校の
許可を得て原付バイクの免許を取っていた。
中には、“もぐり”で取る者もおり、夏休み明けには数名が学校謹慎。
一週間、別の教室で説教と反省文なるものを書かされていたようだった。
バイクを購入した私は、その足で実家まで飛ばした。
飛ばしたといっても、“初心者マーク”付きみたいなもの。
さらに、ナビなど無い時代。
地図をリュックに詰め込んで、ヘルメットと皮手袋をつけて、何度も止まっては地図を見ながら
ひやひやもので東北自動車道をとばして、実家に辿りついた。
初乗りで100kmを越えるツーリング。
我ながら、よくここまでしたもんだと思った。
実家に着くと、兄夫婦が帰省していた。
兄がおもむろに、
「キーは?」
「乗んの?」
「うん。いいだろ?」
「別にいいけど。無免許なんだがら、気をつけろよ」
と私。
(どっちが兄貴かわからない!)
兄は、高校の時に小型自動二輪の免許を取って実際に乗っていたので、乗れない訳ではなかった。
ただ、免許を取っていなかっただけだった。
実家の周りを一回りして無事に帰ってきた。
「あぁ、寒いや! やっぱり自動車の方がいいなぁ」
「そりゃ、そうだろ」
既に結婚して会社の社宅住まいの兄とは訳が違う。
こちとらしがない安アパート暮らし。
バイクを買うのが精一杯。
いつものように年末・年始を過ごして無事に安アパートに戻った。
恵子から、年賀状が届いていた。
にほんブログ村
給湯室で...
恵子と恋仲になってから、会社ではばれない様に振舞っていた二人だったのだが、数ヵ月後、
知られることになる。
始めは、女性陣。
それから、一部の男性陣。
私がこの会社を辞めるまで知らなかった”もぐり”も数人いたが(笑)
当の本人達は、ばれていないだろうと思っていたのだが、
ある日、会社の会議室の裏手で恵子が女性陣に混じって昼食をとった後、30過ぎの独身女性
に声を掛けられた。
「恵子ちゃんて、つき合っている人いるの?」
「...ええ、まぁ」
「どんな人?」
「えぇっ、それはぁ...」
(恵子が口ごもった)
「恵子ちゃんには、ちゃんとした人がいるのよね!」
とは、秘書仲間の中年の奥様の声。
「誰?」
「う~ん。それは、ちょっとぉ...」
「それは、内緒よねぇ」(なんだか意味深!)
「はい、内緒です」
そんな会話があったようだ。
にほんブログ村
知られることになる。
始めは、女性陣。
それから、一部の男性陣。
私がこの会社を辞めるまで知らなかった”もぐり”も数人いたが(笑)
当の本人達は、ばれていないだろうと思っていたのだが、
ある日、会社の会議室の裏手で恵子が女性陣に混じって昼食をとった後、30過ぎの独身女性
に声を掛けられた。
「恵子ちゃんて、つき合っている人いるの?」
「...ええ、まぁ」
「どんな人?」
「えぇっ、それはぁ...」
(恵子が口ごもった)
「恵子ちゃんには、ちゃんとした人がいるのよね!」
とは、秘書仲間の中年の奥様の声。
「誰?」
「う~ん。それは、ちょっとぉ...」
「それは、内緒よねぇ」(なんだか意味深!)
「はい、内緒です」
そんな会話があったようだ。
にほんブログ村
恵子と大喧嘩!
恵子と男女の仲になって、1ヶ月も経たない或る日のこと。
恵子と大喧嘩となった。
なぜ喧嘩になったのか?
恵子のお姉さんは仕事の関係で家を出て、ちょっと遠いところで一人暮らしをしている。
恵子がそのお姉さんに電話をした。
「彼氏ができた」と報告したのだ。
(うれしかったのだろう)
「どこどこ出身の人で、○○大学の××学部卒の△△才」
「身長○○センチで、云々。」
そこまでは良かった。
「彼氏にバージンをあげた。デートの度に抱かれてる。」
大まかにはそういったこと。
それを事細かに話したのだ。
勿論、聞かれて答えたこともあるのだろうが。
そこまで話すか?それも姉妹で!
私にも兄弟がいるが、兄貴に「彼女ができた。もう何度も抱いた。」
そんなことは一度も話したことがないし、聞かれたこともない。
それを、事細かに喋って。
私には理解できなかった、そして許せなかった。
「ごめんなさい。」
と、涙目で謝ってはいたけれど、げに女とは怖いものだ。
勿論、恵子にはもうそんな話はするなと言ったが、本当のところは分からない。
今更どうでもよいことだが、その当時は怒り心頭の風来坊だった。
にほんブログ村
恵子と大喧嘩となった。
なぜ喧嘩になったのか?
恵子のお姉さんは仕事の関係で家を出て、ちょっと遠いところで一人暮らしをしている。
恵子がそのお姉さんに電話をした。
「彼氏ができた」と報告したのだ。
(うれしかったのだろう)
「どこどこ出身の人で、○○大学の××学部卒の△△才」
「身長○○センチで、云々。」
そこまでは良かった。
「彼氏にバージンをあげた。デートの度に抱かれてる。」
大まかにはそういったこと。
それを事細かに話したのだ。
勿論、聞かれて答えたこともあるのだろうが。
そこまで話すか?それも姉妹で!
私にも兄弟がいるが、兄貴に「彼女ができた。もう何度も抱いた。」
そんなことは一度も話したことがないし、聞かれたこともない。
それを、事細かに喋って。
私には理解できなかった、そして許せなかった。
「ごめんなさい。」
と、涙目で謝ってはいたけれど、げに女とは怖いものだ。
勿論、恵子にはもうそんな話はするなと言ったが、本当のところは分からない。
今更どうでもよいことだが、その当時は怒り心頭の風来坊だった。
にほんブログ村