給湯室で...
恵子と恋仲になってから、会社ではばれない様に振舞っていた二人だったのだが、数ヵ月後、
知られることになる。
始めは、女性陣。
それから、一部の男性陣。
私がこの会社を辞めるまで知らなかった”もぐり”も数人いたが(笑)
当の本人達は、ばれていないだろうと思っていたのだが、
ある日、会社の会議室の裏手で恵子が女性陣に混じって昼食をとった後、30過ぎの独身女性
に声を掛けられた。
「恵子ちゃんて、つき合っている人いるの?」
「...ええ、まぁ」
「どんな人?」
「えぇっ、それはぁ...」
(恵子が口ごもった)
「恵子ちゃんには、ちゃんとした人がいるのよね!」
とは、秘書仲間の中年の奥様の声。
「誰?」
「う~ん。それは、ちょっとぉ...」
「それは、内緒よねぇ」(なんだか意味深!)
「はい、内緒です」
そんな会話があったようだ。
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知られることになる。
始めは、女性陣。
それから、一部の男性陣。
私がこの会社を辞めるまで知らなかった”もぐり”も数人いたが(笑)
当の本人達は、ばれていないだろうと思っていたのだが、
ある日、会社の会議室の裏手で恵子が女性陣に混じって昼食をとった後、30過ぎの独身女性
に声を掛けられた。
「恵子ちゃんて、つき合っている人いるの?」
「...ええ、まぁ」
「どんな人?」
「えぇっ、それはぁ...」
(恵子が口ごもった)
「恵子ちゃんには、ちゃんとした人がいるのよね!」
とは、秘書仲間の中年の奥様の声。
「誰?」
「う~ん。それは、ちょっとぉ...」
「それは、内緒よねぇ」(なんだか意味深!)
「はい、内緒です」
そんな会話があったようだ。
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しかし、中年の奥様秘書(すごく素敵な方でした)はどうしてあんなことを言ったのだろうか?
恵子とのつき合いが女性陣に知れた後、恵子に聞かされた。
ある朝、給湯室で抱き合っているところをその秘書に見られていたのだと。
その秘書は、私たちの姿を目撃した瞬間、気をつかって自分の席に戻ったのだ。
恵子が席に着いたのを確認してから、改めて給湯室に出かけたらしい。
私達が勤務するオフィス・ビルには複数の会社が同居しており、給湯室は、会社を出た
ところにそれぞれの会社の給湯室がまとめてデザインされてあった。
そんな昼食後の会話の後、恵子が給湯室でたまたまその奥様秘書と二人きりになった時に、
「実は、見ちゃったのよね。恵子ちゃんと××さんが抱き合っているところを」
「そうだったんですか?」
「うん。ご免なさいね」
「いえ、そんな....」
(後が続かない)
「若い人はいいわね」
「...」
「真剣におつき合いしてるの?」
「はい」
「そう。じゃ、がんばってね」
「はい」
その奥様秘書は二人の関係、特に給湯室での目撃シーンを秘密にしてくれていたようだった。
後日、例の30過ぎの女性から、
「恵子ちゃんがつき合っている人って、××さんでしょ?」
「えぇっ!」
(恵子が驚きを隠せないでいると)
「やっぱりぃ」
「どうして、そう思うんですかぁ?」
「見てれば分かるわよぉ。だって、××さんは恵子ちゃんと違う部でしょ。なのに、××さんのデスクに
寄り途してるじゃない。だからピンときたのよ」
「そうですか...これから気をつけます」
「今更、遅いわよぉ」(笑)
「...」
そんなことでバレバレになってしまった。
しかし、これが本当の真相ではなかったようなのだ。
1年後、別の秘書仲間の女性に誘われて三人でドライブした時に、告げられた。
「あの時は黙っていたけど、実は皆、知っていたのよ。皆で、若い二人なんだから、
そうっとしておいてあげようってね。皆、見て見ぬふりをしていたの」
「そうだったんですか」
「△△さんたらあんなこと聞いて、イヤね」
結局、女性陣は皆、知っていたようなのだ、例の女性を除いて。
知らぬは二人ばかりなりってね。
私達が結婚して十数年後、ばったり出くわした旧友の話によると、例の女性はその後、
“結婚する”と言って会社を辞めて田舎に帰ったのだが、良縁に恵まれず、未だ独身の身だ
ということだった。
健在なら、今50代半ばの筈だが、その後の消息は誰からも伺っていない。
―教訓―
・給湯室で抱き合ってはいけない。
(しかし、その時は恵子の家でちょっとしたごたごたがあって、精神的に不安定で涙を流していた。
あの場合、抱きしめてあげるしかなかったんだよなぁ)
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恵子とのつき合いが女性陣に知れた後、恵子に聞かされた。
ある朝、給湯室で抱き合っているところをその秘書に見られていたのだと。
その秘書は、私たちの姿を目撃した瞬間、気をつかって自分の席に戻ったのだ。
恵子が席に着いたのを確認してから、改めて給湯室に出かけたらしい。
私達が勤務するオフィス・ビルには複数の会社が同居しており、給湯室は、会社を出た
ところにそれぞれの会社の給湯室がまとめてデザインされてあった。
そんな昼食後の会話の後、恵子が給湯室でたまたまその奥様秘書と二人きりになった時に、
「実は、見ちゃったのよね。恵子ちゃんと××さんが抱き合っているところを」
「そうだったんですか?」
「うん。ご免なさいね」
「いえ、そんな....」
(後が続かない)
「若い人はいいわね」
「...」
「真剣におつき合いしてるの?」
「はい」
「そう。じゃ、がんばってね」
「はい」
その奥様秘書は二人の関係、特に給湯室での目撃シーンを秘密にしてくれていたようだった。
後日、例の30過ぎの女性から、
「恵子ちゃんがつき合っている人って、××さんでしょ?」
「えぇっ!」
(恵子が驚きを隠せないでいると)
「やっぱりぃ」
「どうして、そう思うんですかぁ?」
「見てれば分かるわよぉ。だって、××さんは恵子ちゃんと違う部でしょ。なのに、××さんのデスクに
寄り途してるじゃない。だからピンときたのよ」
「そうですか...これから気をつけます」
「今更、遅いわよぉ」(笑)
「...」
そんなことでバレバレになってしまった。
しかし、これが本当の真相ではなかったようなのだ。
1年後、別の秘書仲間の女性に誘われて三人でドライブした時に、告げられた。
「あの時は黙っていたけど、実は皆、知っていたのよ。皆で、若い二人なんだから、
そうっとしておいてあげようってね。皆、見て見ぬふりをしていたの」
「そうだったんですか」
「△△さんたらあんなこと聞いて、イヤね」
結局、女性陣は皆、知っていたようなのだ、例の女性を除いて。
知らぬは二人ばかりなりってね。
私達が結婚して十数年後、ばったり出くわした旧友の話によると、例の女性はその後、
“結婚する”と言って会社を辞めて田舎に帰ったのだが、良縁に恵まれず、未だ独身の身だ
ということだった。
健在なら、今50代半ばの筈だが、その後の消息は誰からも伺っていない。
―教訓―
・給湯室で抱き合ってはいけない。
(しかし、その時は恵子の家でちょっとしたごたごたがあって、精神的に不安定で涙を流していた。
あの場合、抱きしめてあげるしかなかったんだよなぁ)
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